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「蒸し豆」の魅力

池谷敏郎先生に聞く、豆・蒸し豆の価値

「蒸し黒豆+ヨーグルト」の「Wタンパク質」で健康寿命を延ばす


池谷敏郎 先生

医療法人社団 池谷医院 院長/
東京医科大学 客員講師

総合内科専門医、循環器専門医。
1988年、東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。
1997年、池谷医院理事長兼院長に就任。心臓、血管のエキスパート。
著書に「血管を強くして突然死を防ぐ」(PHP研究所)、「血管を鍛えると超健康になる!」(三笠書房)など多数。

池谷敏郎オフィシャルブログ

池谷敏郎先生

食事指導では「蒸し豆」を推奨されていると聞きました。どのような経緯で「蒸し豆」を推奨されているのでしょうか。

現代の食事は炭水化物にあふれており、メタボの方、血糖値が上がりやすい方、糖質を控えたい方の選択肢はとても少ないといえます。そこでタンパク質や食物繊維源として優秀な「豆」をうまく取り入れることはできないか考えたのがきっかけです。

以前は、具体的な食事として納豆を推奨していました。しかし納豆は味が強く、メニューのバリエーションを増やすためにトッピングで使ったり、既存の食品に加えることが難しいという課題がありました。そこで同じ大豆でも、納豆ではなく、蒸した大豆ならどうかと探してみたところ、市販品で簡単に手に入る蒸し大豆や蒸し黒豆などの存在を知り、それ以来、自分でも使いながら、患者さんに推奨しています。「蒸し豆」を取り入れるようになってもう5年になります。

「蒸し豆」のどのような点が優れているのでしょうか。
まず、蒸し豆は調理の過程で栄養成分の流出がありません。また、風味が損なわれず美味しい。食べ方としては、サラダに入れたり、ヨーグルトに入れたり、寒い日にはスープに入れたりと、気分に応じていろいろな形で食べることができ、普段の食事に取り入れやすい点も優れているといえるでしょう。
「蒸し豆」を食べるのに効果的なタイミングはありますか。

手軽さでいうなら朝と昼です。もちろん食事は3食バランス良くが基本ですが、忙しくてしっかりした食事ができるのが夜だけという方もいると思います。そんな方には、朝と昼は「不足しやすくて大事なものを摂る」、そして「夜は1日のバランスと収支を考えて摂る」といったように、1日トータルでバランスを整える考え方・食べ方を伝えています。したがって、朝や昼に1日の中で不足しがちな食物繊維を補うという考え方でいうと、「蒸し豆」はとても効果的といえます。

食べ方としては「豆ファースト」がいいでしょう。血糖値の急激な上昇を防ぐために野菜から食べるスタイルを「ベジファースト」といいますが、野菜を豆に置き換えたものが「豆ファースト」です。置き換えではなくサラダに蒸し豆を加えた場合は「ベジ・豆ファースト」と言った方がいいかもしれません。野菜・豆から食べることで、血糖値の上昇抑制だけでなく、野菜に不足している食物繊維やタンパク質を補うことができます。

池谷先生オススメの「蒸し豆」の食べ方があるそうですが。

私が実践しているのは「蒸し黒豆+ヨーグルト」です。もともとヨーグルトには腸内環境を整えるはたらきがありますが、蒸し黒豆を加えることで、豆の食物繊維がヨーグルトの善玉菌のエサとなり、腸内の炎症、アレルギー、脂肪蓄積などを抑制する短鎖脂肪酸が作られ、腸内環境を整える力をより高めることができます。さらに「蒸し黒豆+ヨーグルト」の「Wタンパク質」で、近年リスクが高まっている筋肉量の減少、すなわちサルコペニアの予防効果も期待できます。そもそも、私たちの体はタンパク質からできているので、「Wタンパク質」の効果は美容・健康にも及ぶことはもちろん、健康寿命を延ばすことにもつながると考えています。

「蒸し黒豆」は「蒸し豆」の良さに加えて、黒豆に含まれる健康成分のポリフェノールも摂れるほか、色合いもオシャレでパンダみたいにかわいくなるので、女性やお子様にもオススメです。

スプーンサラダで「蒸し豆」を食べることについてはどう思われますか。
サラダは食物繊維が多いというイメージがありますが、実はそれほど多くはありません。そこで、お勧めしたいのが「蒸し豆」のトッピングです。「蒸し豆」を加えたサラダは豊富な食物繊維に加え、タンパク質を含む、食卓の主役となることでしょう。

本多京子先生に聞く、豆・蒸し豆の価値

スプーン1杯の豆を食べることを心掛けてもらいたい


本多京子 先生

医学博士・管理栄養士

実践女子大学家政学部食物学科卒業後、早稲田大学教育学部体育生理学教室研究員を経て、東京医科大学で医学博士号を取得。2007年4月に策定された国民運動「新健康フロンティア戦略」の健康大使。NPO日本食育協会理事。日本体育大学児童スポーツ教育学部では「子供の食と栄養」を担当。日本紅茶協会ティーインストラクター名誉顧問、アロマテラピープロフェッショナルその他をつとめる。テレビや雑誌では健康と栄養に関するアドバイスやレシピを多数作成。栄養や食に関する著書は60冊を超える。

本多京子  先生

「豆」の摂取量が増えていない現状についてどう思われていますか。
冷蔵庫が普及していない時代は、保存食としての乾物、豆は身近な存在でした。各家庭には熱源、暖房器具としての火鉢や練炭があり、お湯を沸かす時以外でも「火」をムダにしないよう、水で戻した豆をそこでコトコト煮て五目豆(大豆と根菜などを使った煮物)などが作られ、常備菜としていつも食卓に並んでいました。しかし時代は変わり、現代の食を象徴するキーワードは「時短」「個食/孤食」という社会に私たちは暮らしています。豆を戻して煮るには時間がかかりますし、効率を求めて大量に仕込むと今度は食べきれずに処理に困ることもあって、豆が食卓に登場する機会が徐々に減ってきたのだと思います。
その結果、どんな問題が起きているのでしょうか。
社会が変われば⾷が変わり、⾷が変われば罹る病気も変わります。⾖を⾷べなくなったことで、⽇本⼈の⾷物繊維摂取量が減り、塩分の取り過ぎによる⾼⾎圧や胃の病気に罹りやすくなった時代を経て、現在は⾷物繊維不⾜による腸の病気の時代を迎えたといえるでしょう。もちろん⾷物繊維不⾜は⾖だけが原因というわけではありませんが、「⾖を戻さない/煮ない/⾷べない」という⽣活の定着が背景のひとつにあるということはできるでしょう。
豆を再び生活に取り戻すにはどうすればよいでしょうか。
実は、カレー⽤のスプーン⼭盛り1杯分の⾖を取るだけで、⽣野菜サラダ1⼈分の⾷物繊維を取ることができます。いきなりたくさんの⾖を取ろうとすると⼤変なので、まずは毎⽇カレー⽤のスプーン⼭盛り1杯分の⾖を⾷べること⼼掛けましょう。
甘い煮豆が苦手という方でも、最近は甘くない「蒸し豆」も市販されているので、サラダやスープなど普段の食事にそれらをプラスするとよいでしょう。また、食事にそのまま加えるだけでなく、すり潰してディップにすると食べやすく味のバリエーションも広がると思います。豆は非常に優れた食品なので工夫して毎日の食事にぜひ取り入れてもらいたいですね。
「蒸し豆」の良い点は?
煮⾖は茹でる際に⽔溶性の⾷物繊維やビタミン、イソフラボンやアントシアニンなどのファイトケミカルと呼ばれる機能性成分の⼀部が溶け出して失われてしまいますが、「蒸し⾖」ならその⼼配がないことが最⼤の利点といえます。味については、デンプンが抜けないのでホクホクとした、⾖ならではの美味しさを感じることもできます。
食育における豆の可能性について教えてください。

私たちは食事をする際に「いただきます」と言います。これは人間が他の動植物の命を奪わないと生きていけない生き物であり、食べ物として命を頂くことに対して感謝を込めて言っているわけです。豆は、まさにその一粒一粒が命の元であり、食べることでたくさんの命を頂いていることを感じ、考え、感謝することを子どもたちに伝えるのに最適な食べ物といえるでしょう。

自分のことだけを考えるのではなく、他の命によって「生かされている」ということを、豆を食べながら、少しでも感じ、考えてもらえたらうれしいですね。